社宅関連コラム

今さら聞けない!賃貸の初期費用とは【その1】

2021.10.11

賃貸契約の際に発生する初期費用

賃貸の契約にあたっては、契約時に敷金や礼金などの初期費用が発生します。
これらの費用は出来る限り安く抑えたいのが本音ですが、ただ安い事だけに着目して選んでしまうと、後から損をしてしまう事にもなりかねません

重要なのは、各費用の性格を正しく知り、契約時だけでなく解約時に発生するであろう費用までを想定してお部屋を選ぶことです。

そこで、今回は賃貸契約における各初期費用の意味や性質についてご説明します。

1.敷金

敷金とは貸主に預けておく一時金で、原則的には解約時に全額返金される前提のものです。

ただ、契約期間中に万が一賃料の未払い等が起こった場合にはその弁済に充てられる事があり、また、多くの場合この敷金から解約時のクリーニング費用が差し引かれて返金されることになります。

近年は敷金0ヶ月のお部屋も増えていますが、この場合には契約時または解約時にクリーニング費用相当額として一定金額を支払う必要があります。

よって、敷金はその金額の大小によって実質的な損得はなく、手持ちの金額が少ない等の特別な状況でない限り、上限を定めずお部屋を検索したほうが選択肢が増える事になります。

2.礼金

礼金とは貸主に対する謝礼金的な一時金で、契約時に全て受領され全額返金されません
その為、礼金は0ヶ月であるに越したことはなく、なるべく支払を避けたい金額となります。

ただ、市場原理によって、相対的に希少性の高い物件(好条件で、多くの需要者がつくような物件)には自然と礼金が高く設定される傾向にあるため、予算に余裕があり、お部屋に対するこだわりが多い場合には上限を定めずに検索するべきです。

逆に、予算が少なかったり、お部屋に対するこだわりが少ない場合には、礼金0の物件に絞り込んで検索したほうがオトクです。

3.保証金

賃貸における保証金は、敷金的な性格を持つ場合、礼金的な性格を持つ場合、もしくはその両方の意味を併せ持つような場合など貸主や管理会社によってその取扱いが様々で、不動産業者でも一見して判断がつかない事が殆どです。

ただ、保証金はいずれの場合も基本的に返金されない事が多いので、出来る限り設定の無いお部屋を選ぶ方がベターでしょう。

4.クリーニング費用

クリーニング費用は、自身が入居する前のクリーニングではなく、自身が退去した後のクリーニングに対して支払う費用です。
契約時に預けておく場合と退去時に実費精算する場合がありますが、いずれにしても支払うことになる金額の為、設定の有無によっての損得はありません。

ただ稀に、実際にかかるクリーニング費用よりも大幅に高い金額設定の場合があるため、その様な場合は注意が必要です。

5.鍵交換費用

鍵交換費用は、自身が入居する前の鍵交換費用です。

国交省ガイドラインによれば、鍵交換は「入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、賃貸人の負担とすることが妥当」とありますが、あくまでもガイドラインであり、貸主に負担を絶対強制する内容ではない事から、現実の賃貸借契約においては借主負担とされるケースも多数あります。

鍵交換を行うメリットは借主側にも確実にあり、この設定の有無による損得は基本的にはありませんが、クリーニング費用同様に相場より大幅に高い金額設定の場合があるため、その様な場合は注意が必要です。

6.仲介手数料

仲介手数料とは仲介をした不動産業者に対する報酬で、宅建業法により上限は税別1ヶ月に定められています

※同法では居住用賃貸について、「貸主・借主の一方から受け取ることのできる報酬は、依頼者の承諾を得ている場合を除いて、税別0.5ヶ月分以内でなければならない。」とされています。
この通りであるならば、原則借主が支払う仲介手数料の上限は0.5ヶ月(性別)となりますが、1都3県の商習慣においてはほとんどの場合、募集の段階で貸主が仲介手数料を負担しない前提(借主が100%負担する前提)となっており、仲介業者としても借主から100%受領する前提で紹介を行うため、一般に仲介手数料は税別1ヶ月となっています。

借り手の立場からすれば礼金同様に支払いを避けたい金額であり、求めている条件にぴったり合う物件が仲介手数料半額や無料であれば、それに越したことはありません。

仲介手数料は無料の方がいい!……というわけでもない

お部屋探しをスタートする段階で<全物件仲介手数料半額!>や<仲介手数料無料!>を謳う不動産業者に絞って問い合わせる方もいらっしゃいますが、ここで十分に注意が必要なのは以下の違い。

礼金の大小をもとに、多くの物件から候補を限定する
ことと、

仲介手数料の大小をもとに、利用する不動産業者を限定する(候補物件はその不動産業者から提案される物件に限定される)
ことは似て非なるものであり、一概に仲介手数料の安い業者を利用したほうが得という訳でもありません

不動産業者の経営目線に立った時、同業他社の半分又はそれ以下の利益しか生まないビジネスモデルで事業を継続させることは事実上不可能です。

それ故に半額や無料となる物件とは半額や無料にしても利益が出る物件(それ以外の費用項目で結局そのマイナス分を回収していたりするような物件等)」であって、<全物件仲介手数料半額!>や<仲介手数料無料!>と謳う不動産業者を利用する際には、借主がどのようなお部屋を求めているかよりも、その不動産業者の利益の方が優先されやすい事を念頭に置いておくべきでしょう。

今回のご説明はここまでです。

次回は保証会社24時間サポート前家賃等についてご説明させていただきます!